「明日の風」部員の投稿記事

※注 約30年以上前に書いた投稿記事です。

エアーポケット

大野 一之

第一期生 大野 一之
特に映画に関して強い興味があったわけではないし、知人に勧誘されたわけでもない。「明日の風」との出会いは、茶話会の行われる数十分前にたまたまポスターの前を通り過ぎた偶然に過ぎない。入会してからも、特に興味が増すこともなかったし、「これが青春だ」と言えるほどの情熱と時間を費やすこともなく、他のサークルの幹部になったこともあり、わずか1年ばかりで引退した自分に思い出を、ましてや「明日の風」への期待などというものを大上段に構えて語る資格はないだろう。ただ一つ、「明日の風」という響きから思い出されるのは、なぜか人影まばらになった夕暮れの教養ロータリー前、昼間あれだけ騒がしかったのがうそのように、もの寂し気な雰囲気を醸し出している夕暮れの教養ロータリー前。遠くで響くオーケストラのラッパの音、詩吟部の声、時折通る運動部のランニング姿の掛け声ー世の中のすべての動きから、ふわっとエアーポケットに入り込んだようなあの虚無感。-このようなイメージが浮かぶのは、奇しくも明日の風在中の一年間が自分にとって、学生時代のドツボ期であったのと決して無関係ではあるまい。もちろん、映画を何もないところから一本作り上げる行程に参加できたことは大きな思い出と言えるし、七夕祭、萩への合宿、仲間同士での時間つぶしの典型のようなジャレ麻雀、簡単にできるものをわざと仰々しく行う運営方式も、今となっては一つの思い出と言えるかもしれない。 文字通り、「風」のように通り過ぎた「明日の風」での一年間が、自分に与えてくれたものが何であったかは、今となってもなお、はっきりとはわからない。 「五周年」という言葉を聞いたとき、ひょっとしたらふわっとエアーポケットにはいったようなものだっただけなのかもしれない、などと思ったりする。 現在、大阪の銀行マンとしてあわただしい毎日を送っているが、また何かの機会のときには、「明日の風」のことなどもゆっくり思い出してみたい。 「明日の風」のますますの発展を心から祈っております。

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